◇ストーカーに悩んでいたシュヴァルグランは信頼できる大人、トレーナーさんとヴィブロス•ヴィルシーナに相談していた。そして……
「追い詰めたぞ。シュヴァルに付き纏う変態野郎め!」
「シュヴァちをストーカーするなんていい度胸してるねおじさん♡一生独房に入っててよ☆」
◇ヴィブロスとシュヴァルトレは廃工場へストーカーを誘い込み、ただいまストーカー追い込み漁中である。ちなみにヴィルシーナとシュヴァルグランは廃工場の外で待機中。
シュヴァルトレとヴィブロスか。あいも変わらず血気盛んな連中だ。だが、残念なことに私はもう止まれない。
「シュヴァルチャは可愛い。それが私の選んだ本音」
肉体は全て可能性なんだ。益々欲しいねぇ。これまでに私はシュヴァルチャの尻尾抜け毛を拝借し精巧なクローンを作った。だが、まだまだこんなものではないはずだ。
肉体の可能性は。
◇シュヴァルチャ
私は一から生み出そうとした。だがそれではダメなんだ。私から産まれるシュヴァルチャは私の想像の域を出ない。答えはいつだって混沌の中で黒く輝いているものだ。
「分かるかい?」
「お前がどうしようもない変態野郎で、話の通じないタイプなのは分かる」
「バカだなぁ。私が作るべきだったのは尻尾毛を媒体にした制御不能のシュヴァルチャだったんだ。シュヴァル天変」
私は地面にシュヴァルチャの抜け毛を置き特殊な詠唱を唱えた。すると瞬く間に地面がコバルトブルーカラーへ染まっていく。
「お前、何をした?」
「事前に準備しておいた日本中の藁人形達に遠隔でシュヴァル天変を施した。自我を持つ千体のクローンシュヴァルチャが悪意なく放たれたと思ってくれ」
「……は?」
「藁人形に宿った自我を持つシュヴァちが千人……?」
今、そのシュヴァルチャの封印を解いた。藁人形達にシュヴァルの意思•自我が乗り移り、時期に目を覚ますだろう。
「シュヴァルチャにはこれから私と予想不可能な恋愛をしてもらう」
「クローンとはいえ、もっと人権無視した要求をシュヴァルにするもんかと思ってたよ。お前にしては控えめな要求だな」
「死ね」
とにかく、始まるよシュヴァルチャ。私の遅い青春が。
◇一方その頃、本物のシュヴァルグランは『この悪夢が早く終わればいいのに』と願っていた。