モフモフの世界を創るアヤベさん
「布団乾燥機を褒め称え崇めよ、モフモフ達」
自我を持った布団乾燥機達の拍手が教会内に響き渡る。羊達は『メェ〜!』と泣き叫ぶ。訳もわからないまま巻き込まれてここに出席しているシュヴァルグラン&ダークライはこの異様な光景に困惑していた。
程なくして、モフモフ会団長のアヤベさんは壇上に上がりマイクを握る。彼女はモフモフ羊の着ぐるみを着て自らもモフモフになっており、左脇に乾燥機を挟んでいた。
「素晴らしいッ! 素晴らしいよ! 私は今、最高な気分だわ! 布団乾燥機達がモフモフを慈しみ、敬う! 私の望む世界が、今! 目の前にある!」
「アヤベさん! 何やってんだ君はぁ!」
アドマイヤベガが乾燥機を背に向け絶叫したその瞬間である。デカいだけのドアを蹴破って、モフモフ会の会合に真正面から乱入してきたウマ娘がいた。怒髪天状態のテイエムオペラオーである。
「オペラオー。あなたが目障りだったのよ。いつも子供扱いだ。何処にでも出て来てボス面しやがる」
「君もぉ〜ボスになったんだろ。この乾燥機の群れでよぉ」
「オペラオーーーッ!」
「『さん』をつけろよモフモフ野郎ォ!」
「私はね、この世界丸ごとモフモフにしたいの。モフモフは誰も傷つけないし、SNSを駆使して誹謗中傷もしない。乾燥機かけたらモフモフになってくれる。人やウマ娘よりよっぽど素敵な生き物なのよ。モフモフと共にあらんことを」
「モフモフの世界を創る? あながち君なら成し遂げれるかもね。現に君は世界中の布団乾燥機を操っているのだから。だからこそ、今ここで君の暴走を止めなくてはいけないんだ!」
「貴方らしい答えね。『無理に決まってんだろ』という妄言を垂れ流したどっかの理事長とは大違い。そんな理事長もモフモフ監獄送りで『モフモフ』しか喋れなくなってるだろうけど」
「……そうか。理事長は手遅れだったか。単身アジトへ乗り込んで突破口を切り開いた理事長の勇姿、無駄にはしない。アヤベさん、僕と一騎討ちで勝負しろ」
「モフモフの加護を得た私に勝てるとでも?」
「抜かせ」
こうしてアドマイヤベガVSテイエムオペラオーの一騎討ちは三日三晩続いた。
◇
「モフモフのせかい……スウスウ」
「せかいのへいわを……ムニャムニャ」
悪夢を見せるポケモン、ダークライは夢を見せる内容を間違えたと後悔した。モフモフな夢じゃなくて悪夢を見せたかったのにと、自責の念に駆られながら早朝頃に退散していった。