シュヴァルTのモフモフ存在しない記憶
シュヴァルグランTの朝は早い。というよりほぼ全員トレーナーは朝が早い。今日も朝練の為、彼はトレーナー室の扉を開けた。
「おはようございます……トレーナーさん」
その部屋には先客が居たようで、シュヴァルグランという娘が大人しくソファへ座っていた。トレーナーは担当の姿を一目見るなり、急に叫び出す。
「しゅ、シュヴァルが!? 羊の着ぐるみを着てるだと!? ついでに髪の毛もモフモフだぁ!」
毛という毛がモフモフに変わり果てた挙句、死んだ眼をしてる担当を見てトレーナーはギャップ萌え頭痛を起こした。
「触れますよねこの姿に。実はアヤベさんにモフモフされてモフモフされたんです……」
「モフモフ、モフモフ……う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
◇突如、モフモフ王国王子アンネスと手を組んで猫の楽園を建国する夢を就寝中見ていたトレーナーの脳内に溢れ出した存在しない記憶。
◇トレーナー•D•エース
「ジャパンカップに勝っただけ。世代のウマ娘達の当てウマ止まりなだけ。実にパッとしないウマ娘じゃのう。シュヴァルグランは所詮、キタサンブラックの敗北者じゃけぇ」
「取り消せよ、今の言葉ァ!」
「挑発に乗るなトレーナー•D•エース! 貴方にはシュヴァルさんのモフモフがあるじゃない! ほら、私の脇でもがいてる子は最高傑作よ!」
トレーナーは赤犬の挑発にまんまと乗せられていた。羊の着ぐるみシュヴァルグランを担いだアドマイヤベガが的外れな論理でトレーナーを諭すものの、トレーナーの怒りは収まらない。
「シュヴァルは直向きに己を鼓舞して突き進んだ偉大な娘だ! お前にシュヴァルの何が分かる!」
「終いにゃあ姉妹たちに実力で劣ってると聞く。実に空虚なウマ娘じゃありゃせんか? トレーナーは生きる価値なし! マグマグパンチ!」
トレーナーは赤犬に腹を貫かれた。大量に吐血して倒れそうになったトレーナーをシュヴァルグランは優しく抱き寄せた。
「シュヴァル、みんな。今日までこんなどうしようもねぇ自分を、君を中々勝たせてあげれなかったトレーナーを、愛してくれて、ありがとう……!」
そう言い終わると、トレーナーの意識は闇深くへ沈んでいった……
「アヤベさん。存在しない記憶を終わらせに来ましたよ」
「シャンクスーッ!?」
「カレンです。ほら、タキオンさんの薬もそろそろ切れますし早く現実に帰りましょうよ」
「嫌よ。まだこの世界でモフモフしてないわ。むさくるしいマグマのおっさんしか見てないもの」
「知らないです」
◇
「トレーナーさん! 起きてくださいトレーナーさん!」
「……あれっ。たしか自分はマグマのクソ野郎に腹を貫かれて……夢だったのかな」
「よかった。トレーナーさん急に倒れたから、何か重い病気にでもかかったのかと……」
トレーナーは存在しない記憶から目覚めた。どうやらトレーナーはシュヴァルの膝枕状態で数十分程度寝ていたらしかったのだ。
「あっ、朝練の時間……終わりかけてる」
存在しない記憶はなんだったのか、それは誰も知らない。作者も書いてて自分で何書いてるのか分からなくなってるので、誰にも分からない。