二次短編小説置き場ブログ支部byまちゃかり

主にウマ娘の短編を投稿してます。基本的にあるサイトからの自作転載となります。

天使と悪魔のヴィルシーナ〜カップルパフェ

「おねが〜い、お姉ちゃん! 私あのカップルパフェを食べてみたいの〜!」

「でも貴方、近々大事なレースあるんでしょう? 私もそうだし」

「少しぐらい大丈夫だよ〜! ねっ? お姉ちゃん!」

 私達は現在、妹の要望で大人気パフェ屋さんに来ている。カップル限定のパフェにヴィブロスが食いついたからだ。

 私は正直、このカップルパフェを食べたくなかった。懸念点として私は、近々大事なレースに出場予定で、余計な体重増加を避けたいという思惑がある。ヴィブロスも数日後にレースだし、今の時期に食べていいものなのか?


『少しぐらい大丈夫だって。すぐにトレーニングで挽回できるわ』悪魔の私が囁いてくる。『ダメよ私! 貴方は頂点を目指し続けるウマ娘。こんなところで道草食っててはいけないの!』天使の私が現実を見せてくる。

 そうよ、天使の言った通り私は頂点を目指すウマ娘。例え可愛い妹の頼みといえど、甘い誘惑を断ち切って勝たなきゃいけないの。

ヴィブロス……やっぱりこのパフェは大事なレースが無事終わってからに」

「あ〜! シュヴァちがシュヴァちのトレーナーとパフェを食べてる〜!」

 言い終わる前にシュヴァルの特大ネタが脳天貫く青天の霹靂。

 私はヴィブロスの指差した方を急いで凝視して、己の眼を疑った。シュヴァルらしきウマ娘が今までにないぐらいの笑顔でカップルパフェを頬張っていたからだ。

「本当にあれは、シュヴァルよね?」

「うん! シュヴァちがこんな笑顔になってるの久々に見た気がするよ〜!」

 向かい合わせに座ってるトレーナーはシュヴァルに笑顔を向け、シュヴァルも照れながら微笑み返している。私の望む世界が、今、目の前にある!

悪魔『いい機会だ。二人を良い雰囲気に持ってくため、ちょっかいかけてやろうぜ!』

天使『ダメよ悪魔! 今回は私達お呼びじゃないのよ。遠くからパフェでも食べて、妹の恋の行く末を見守る。それでいいじゃない』

悪魔『黙れ天使。お前に恋愛奥手なシュヴァルに何かあったら責任取れるのか!』

天使『分からぬ。だが仮に、シュヴァルが失恋したとしても共に生きることが出来る!』

悪魔『共に生きるだと? 生ぬるい考え方だな。やはり天使よ、お前とはウマが合わん』

 私の脳内天使悪魔は程なくしてドンパチを始めた。思考放棄して即座に休戦。

 結局、私達はパフェを食べるという当初の予定を変更することなく、それに加えてシュヴァル達の様子を遠くから静観するという流れとなった。

「シュヴァち、服も気合い入ってたし〜頑張ってるよね〜」

「素晴らしい、素晴らしいよ。パフェは美味しいし妹の恋発展も美味! 早く式場予約しなきゃだわ!」

「まだあと数年早いよお姉ちゃん」

 


 このあと、ヴィブロス共々私達は太り気味になったので、ギリギリまで絞り込みトレーニングをする羽目となった。