二次短編小説置き場ブログ支部byまちゃかり

主にウマ娘の短編を投稿してます。基本的にあるサイトからの自作転載となります。

一口クラウン 怪談話呼び辻

 怪談好きなトレーナーから聞いた話。日本の何処かに呼び辻っていう十字路があるらしい。目印は真っ赤なポスト。

「あら? 前にトレーナーが言ってた十字路に、左手には真っ赤なポストがある怪談話みたいな道に出たわね?」

 そこを通りかかると後ろから誰かを呼ぶ声がするみたい。例にも漏れず、私も後ろからそんな声が聞こえたわ。

 それで、誰だろうと振り返るけど誰もいない。声をあげてみたけど返事がない。よくみてみると色々とおかしな所があったのよね。

 後ろを振り返った筈なのに、私のちょっと前に十字路があるのよ。左手には当たり前のように赤いポストがあったわ。

 流石の私も冷や汗をかきながら慌てて向きを変えたんだけど、それでも同じような十字路が目の前に広がっていたの。

 どちらにも真っ赤なポスト。

 そこで初めて恐怖を覚えたわ。だってさっきまで道が分かっていた場所なのに、ポストのせいでどっちから来たのかも分からなくなってしまったのよ。現実世界のダンジョンじゃないけど、一種のラビリンスに迷ってしまっんだとも思ったわ。

 でも、ここでパニックや、自暴自棄になってはいけないわ。ゲーム世界と同じように迷宮は冷静に対処しないとクリアできないもの。

 私の場合、落ち着いて家に電話したわ。執事が出たので事情を説明してヘリを呼んできてもらい、そのままラビリンスを脱出。ゲーム世界で言うところの救済アイテムを使って現実世界の迷宮を攻略したの。

 トレーナー曰く、呼び辻は徒歩で帰ろうとすると迷うらしいんだけどね。ただ、相手が悪かったわね。現実世界には文明開花した人類の英知が味方にいるのだから。

「クラちゃん、なんか怪奇側が可哀想に思えてきたよ」