二次短編小説置き場ブログ支部byまちゃかり

主にウマ娘の短編を投稿してます。基本的にあるサイトからの自作転載となります。

理事長はやられたしお友達は分裂暴走しているけどヴェニュスパークは止まらない

「理事長がやられてる……だと!?」

 理事長に呼び出されてきた俺は絶句した。理事長は気にしなくてもいいとして、なんかカフェに似た幽霊達が一フロアを占領している光景が見えたから。

 理事長曰く、ことの発端はタキオンの薬が原因でカフェのお友達から善と悪の心が具現化し分裂したみたいで。そして分裂体の悪の心とやらが人間に危害を加えだし今に至ると。魔人ブウかな?

 そこで至急、たまたま近くにいた俺が現場に向かったわけである。そして研究室の扉を開けたら目の前で理事長が倒れていたと。

「待ってくださいトレーナーさん! 短距離とはいえ並のウマ娘より速く走らないでくださいよー!」

「ゲッ、パーク……追いかけてきちゃったか。事態がややこしくなるから出来れば来ないでほしい」

「トレーナーさんさっき理事長の緊急呼び出しもらってましたけどもしかして私絡みですか……って人が倒れてる!?」

 

 ヴェニュスパーク。俺が受け持っている臨時担当ウマ娘である。正直、留学生の世話なんてやりたくなかった。なんなら興味すらなかった。

 では何故俺が留学生を受け持ったかというと。前専属ウマ娘を完走させた達成感で燃え尽き症候群に浸っていた所に、『臨時トレーナーやってみないか』という打診が理事長づてに来てたので適当に返事したら本当に任命されてしまったからだ。

 要はなし崩し。仕方なく受けているだけである。仕方なしにしては彼女の部屋の掃除やら食事管理やらで最近は何かとパークに日常生活を侵食されていってる気がするが、気にしたら負けである。つくづくトレーナーというものは悲しい生き物だ。

 

「トレーナーさん? トレーナーさん! ちょっと、ボケっとしてないで現実に戻って来てください! なんか、目の前に同じ容姿な子が2人いて尚且つ片方が刃物持ってるんですけど!? ジャパニーズ殺人事件! ちょ、トレーナーさん!」

「はっ、感傷に浸ってる場合じゃなかった。理事長は……どうでもいいとしてこれ以上被害が拡大する前にコイツらを沈めねえと」

 しかし、相手は幽霊。別に自分は除霊師じゃないし、物理攻撃は当然のように無効でこの世界はファンタジーチックなとこじゃないから魔法も当然使えないし有効打がまるでない。

 ……つまりこれ、自分役に立たなくない?

 正直、問題児のタキオンや見た目が怖い(偏見)カフェとは極力関わりたくない。そしてこの騒動に介入する義理もない。よし逃げよう。この騒動は見なかったことにする。理事長は最初から居なかった。

「よしパーク。突然だが実習だ。これから君に殺人鬼がいる現場で命を落とさず逃げきる方法を教えよう」

「え? 殺人鬼に睨まれてる状態でも命が助かる方法があるんですか?」

「うん。方法は単純。殺人鬼が反応する前に全速力で逃げるんだよー! 死ぬ気で走れー!」

「Oh mon goh!!! Monsieur Trainer, un fantôme me poursuit avec un couteau! Je n'ai rien fait aux fantômes !(いやぁぁぁぁ!!! トレーナーさん幽霊が刃物持って追いかけて来てるよ! 私、幽霊には何もしてないのに!)」

 2人の幽霊殺人鬼に鉢合わせた時の対処法。隙を見て逃げ出しましょう。追いつかれたら背中を切り刻まれて死ぬので死ぬ気で走りましょう。南無三。

 

 


やよい「死んだふり作戦してたら呆気なく見捨てられてて草も生えん」