一口クラウン ヤバそうなお札
あれは蝉も己の身の危険を感じてミーンミーンと鳴かなくなるほどに暑い真夏日。引っ越しを終えた俺は都内の暑さに驚きながら成り行きで手伝ってくれたクラウンとアイスを食べ、雑談していた。
夜になり掃除もひと段落した頃。クラウンと俺は時間を忘れカードゲームに熱中していたのもあり、ふと外を見るとすっかり暗闇へと変わっていた。
クラウンを夜中に帰らせるのは未成年的にちょっと不味いと思い、布団を敷いて一緒に寝た。後でたずなさんにその件について色々問い詰められたが、やましい事は何もしていない。
そして誰もが寝静まった夜中頃、不意にクラウンがすくっと立ち上がり、無言のまま押し入れの天窓を勢いよく開けた。
そこには見るからにヤバそうな赤いペンで書かれてる漢字のお札が壁一面に貼られているではありませんか。積年劣化からか文字が滲んでて殆ど解読出来なかったが、かろうじて読める文字の中に呪詛があったので少なくとも良いお札ではなさそうだった。
「……事故物件じゃないこれ?」
「……だからここ、学園に近い良い立地なのに家賃がタダ当然の安さだったのか」
一年くらい住んだが怪奇現象は特に何も起きなかった。