二次短編小説置き場ブログ支部byまちゃかり

主にウマ娘の短編を投稿してます。基本的にあるサイトからの自作転載となります。

パーマー号+クレイジーダイヤモンド=?

「サトノが私のパーマー号に乗りたがってるって? え〜やだよ〜何となく嫌な予感するし」

「それは僕も思ってた。あの子、普段からジンクスとか語ってやばい事ばかりしてるしな。嫌な予感ヒシヒシだ」

 ある日のこと。サトノが己のジンクスを破るために、パーマー号に乗りたがっているとトレーナーから聞かされた。毎日のようにトレーナーの元へ懇願しに来てるらしい。

「例えばだよ、『無免許運転は出来ないというジンクスを破りにきました』とか言われて運転でもされたらさ。パーマー号何個あっても足りないよ」

「そして最後は大事故かまして景気良く爆発オチする所まで見えた。クレイジーダイヤモンドならやりかねん」

「よし、断ろう!」

「おう」


           完

 

 

 サトノに断りを入れるためトレーナーが電話をかけたその直後、部屋の扉がトレーナーの頬を掠めて綿みたいに吹き飛んでいった。

 トレーナーの頬から勢いよく鮮血が飛ぶ。

 さらにトレーナーの血が吹き出たタイミングで、土埃と共に誰かが侵入してきた。侵入者は光の速さで『完』のテロップを盗んだあと、埃に巻かれて消えた。

 私は何もできなかった。目の前の光景を脳内で理解出来ず、ただただ目の前の光景にビクビクしていた。

 トレーナーも何も理解できてない感じで頬をさすりながら呆然としている。

 何が何だか分からないけど、多分最優先事項はトレーナーの治療だ。私は近くにあった治療キットでトレーナーの頬にガーゼを貼る。

 その間に埃は落ち着きを見せており。埃の変わりに一人のウマ娘がニコニコしながら仁王立ちしているのが見えた。その顔は……サトノ!?


「何やらお二人方が勝手にお話を終わらせにかかってたので、その前に『完』という文字を缶を潰す要領で捏ねて回して粉砕しました」

 サトノは完だったものを地面に叩きつけた。完は赤ちゃんの鳴き声をあげながら部屋の隅へと転がっていく。

「お話強制終了のジンクスを壊したので、まだ終わってないですよこのお話」ニコニコ

「お前は……ジンクス破壊神クレイジーダイヤモンド!?」

「その呼び方辞めてください」


 この一連の流れだけでもサトノが『クレイジーダイヤモンド』とか『ゴルシと並んだ女』とか呼ばれてる理由が分かる。まあ実際、常識は壊すものと解釈してる節からねこの子。クレイジーすぎる。

 ていうかさ、当たり前のようにメタい物体潰すのやめてほしい。『完』のテロップ、今部屋の隅っこで泣いてるよ?

 ツッコミどころしかないこの空間に頭を抱えながら、私はソファに腰掛けて思わずため息を吐いた。

「何しに来たんだいダイヤ。うん、なんとなく分かるけどさ。一応ね?」

 トレーナーは右目をピクピクしながらサトノに向かってここに来た理由を問いかけていた。

「はい! とあるジンクスを破りたくていても立ってもいられなくなりまして!」
 
 トレーナーさんはさっきから私に眼でヘルプを訴えかけている。私介入しても、もうサトノは止まらないような気がするけど、やるだけやってみるか。

「そのジンクスってさ。サトノ自ら運転しなくても破れるんだよね?」

「はい? 確かにそうですね?」

「よし、トレーナー。運転頑張って!」

「うそやろパーマー!? それはそれで僕の責任ヤバない?」

 

「ご提案感謝します。でも安心してください。パーマーさんのトレーナーさんに手を煩わせません。だって今日の目的は、『最高速度違反したら警察の人に捕まる』というジンクスを私自身の手破る事なんですから!」

「捕まるに決まってるだろ!」

「私は捕まった事ないですしまだ分からないじゃないですか! さあつべこべ言わず行きましょう!」


 サトノはウキウキで外に出て行った。絶対に自身の力でジンクスを破るんだと意気込みながら。


「……賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ。そんなことわざあるけどさ。絶対サトノは後者側じゃん。なんならさ、多分あの子無免許だし」

「だなぁ〜(諦め)」


◇おまけ


「ジンクスジンクス☆」

「私は憂鬱。朝食抜き空腹。祝福であってほしい今日この頃。イエーイ……」

 後日、流石に公道を走らせるわけにもいかないので、試しにメジロ家の敷地内限定でサトノを運転させてみた。

「ブレーキ、せめてブレーキを踏んでぇぇぇ〜!?」

 案の定というか初心者なサトノに車を扱えるわけもなく、パーマー号はアクセル全開フルスピードでクッション入った柔らかい壁に突っ込んだ。

 そしてパーマー号は暫くの間、修理に出す事になった。
 


 結論 パーマー号+クレイジーダイヤモンド=事故る。