二次短編小説置き場ブログ支部byまちゃかり

主にウマ娘の短編を投稿してます。基本的にあるサイトからの自作転載となります。

記憶喪失クラウンとトレーナーの膝に座るシュヴァルグランα一般通過空飛ぶ鯛

クラウン?「遊戯王ってなんですか?」

キタサト「ええっ!?」

「ていうか……ここはどこですか?」

「……エエエエエぇぇぇェェ!?」

 クラウン記憶喪失事件。何もせず外でぼーっとしていたクラウンを心配したキタサトによって発覚したその事件。クラウンは何も覚えてない上に人格も純粋になっていた。

「ど、どうしようキタちゃん。なんかクラちゃん普段と雰囲気が違うんだけど。もしかしてマジなやつ!?」

「確かにいつもは自信で満ち溢れてるお姉さんキャラなはずだけど、今はどちらかというとシュヴァルちゃんに似た雰囲気になっている気がする……? どうなんだろ?」

「と、とにかくベタだけどどこまで覚えてるか確認してみましょう!」

「大丈夫ダイヤちゃん? 今のクラちゃんは多分、過去一番純粋だけど?」

「三発までは耐えて見せます!」

「それ以上はダメなんだ」

 キタサトは記憶喪失は何かの間違いであってほしいという気持ちで、クラウンにいくつかの質問を投げかけてみる事にした。

「ク、クラちゃん……」

「どうやら私はクラちゃんという名前らしいですね。いかがしましたか?」

「なぁにこれぇ」
「強靭☆無敵☆最強☆粉砕! 玉砕! 大喝采!」

「この二名はクラちゃんがよくやっていたカードゲームのキャラクターです。何か思い出しましたか?」

 するとクラウンはキャラクターを見た瞬間、『大きな声……怖いです』とポツリと一言。程なくしてボロボロと涙で地面を濡らしだした。それを見たダイヤは白目を剥いて口から泡を吹き、バタンと音を立てて倒れた。

「ダイヤちゃぁぁぁん!? 一撃ノックアウトされちゃった!?」

「うう……違和感で私が記憶喪失しそう……」

「ダイヤちゃん……という名前なのですね? とても綺麗な鹿毛の髪、容姿も色白でさながら深窓の令嬢といった雰囲気でお美しいですね!」

 クラウンの追い討ち。ダイヤはショックで吐血した。

「ダイヤちゃぁぁぁん!? もうやめてクラちゃん、これ以上はダイヤちゃんが持たないよ!」

「キタちゃんさんは煌びやかな黒髪で、まるで小動物みたいな愛くるしさの持ち主ですね。羨ましいです」

 キタサンも倒れた。


◇ 閉話休題


「それにしても記憶喪失とか使い古された展開だね」

「作者はネタ切れなのかな?」

「ていうか、クラちゃんはどうしてこうなったんだろ?」

「ターボはクラウンのこと分かるぞ!」

「そ、その声は!」

「ターボだ!」

 キタサトの前に何かを知ってるツインターボが現れた。

「ターボさん、クラちゃんがああなってしまった原因分かるのですか?」

「あーそれは朝のことだったな!」


 早朝、ターボは前で走っていたクラウンが遊戯王カードを落とす現場を目撃。クラウンはカードを落とした事に気づいてないらしく、ご機嫌な様子で走っていったらしい。

 慌てたターボはカードを届けようとクラウンを追いかけた。するとクラウンはある建物に入っていったらしい。

 ターボはクラウンが入ったと思われる部屋を窓から覗いたものの、肝心のクラウン本人は何故か見当たらず。そうこうしてるうちに怪しい男の影が一つ見えたという。

『はぁぁぁぁぁぁ、トレーナー業やってられんわ。まさかクラウンも同じ穴の狢とか。ていうか逆にどうやって多感なウマ娘の男性観を守ることできんだよ。教えてほしいわ!』


「ああ、それはクラちゃんのトレーナーさんですね」

「クラトレさんなんかやさぐれてない?」

クラトレ『このあと……今日も家にクラウン押しかけてくるかもだけれど……はぁ、その前にすべてを忘れたい……』

「クラちゃんのトレーナーさん。何かあったのかな?」

クラトレ『こうなりゃすべてを忘れられるやつを飲むしかないな! まだ朝だし、休日なのにこのあとクラウンのトレーニング控えてるけど大丈夫だろ!』

 キタサトはすべてを忘れられるというトレーナーの発言を聞いた辺りで大袈裟に反応した。クラウンがああなった原因かもしれないと思ったからだ。

「クラトレさんまさか、危ない薬やっててそれをクラちゃんが誤薬したから……」

「いや普通にストロング缶だったぞ」

「それはそれで大問題な気がする」

『これがあれば一時的に全て忘れられる……そういえばツマミが無かったな。しょうがない今から作ってくるかぁ』

 そうしてクラトレが台所に消えていくタイミングでクラウンは颯爽と部屋に現れた。入れ違いである。

クラウン『トレーナー? いないのかしら。せっかく私が遊びに来たのに。て、これは。ジュースじゃない。ちょうど喉が乾いてたのよね! 相変わらず気が効くトレーナーだわ』

 ゴクゴクゴクっ……

クラウン?『(^@^)』


「そうしてひょっとこ仮面みたいなアホの顔になったクラウンはすぐに建物から飛び出していったんだ」

 ターボの話を聞いたキタサトは激怒した。必ず、職務怠慢で記憶喪失クラウンの原因を間接的に作ったクラウントレを問い詰めると。


◇クラトレが使ってるトレーナー室にて。


「あれ? もうすぐ時間なのにクラウン遅いなぁ……? 遅刻するタイプじゃないし、もしかして何か事件に巻き込まれたのかも!?」

 ドタバタドタバタ……ズドーーーン!

「「カチコミじゃあオドレ! ウチのクラちゃんに何飲ましとるんじゃぁぁぁ!」」

「うわぁぁぁ!? ドアが吹っ飛んだぁぁぁ!?」


 クラトレ室のドアは窓を突き破って外へと旅立っていった。しばらく破滅的なスピードで飛行したあと、とある商店街の魚屋へ着陸。そこでピタゴラスイッチ的な奇跡が重なりなんやかんやで鯛は空へ飛翔しトレセン学園にと向かっていく。

 そうして飛んだ鯛は、換気で窓を開けていたシュヴァルグランのトレーナー室へ突入していった……


シュヴァルグラン使用トレーナー室


「シュヴァル……ここに座ってたら自分仕事できないよ」

「す、すいません。クラウンさんに勧められてやってみたんですけど、嫌でしたよね?」

「待ってシュヴァル、嫌ではないよ。でも座るんだったらパソコンもセットで欲しいかなってだけで。ああ、あと冷蔵庫に鯛焼きあるから座るんだったらそれも取ってきてくれたら嬉しいな」

 時間を遡り数分前、シュヴァルグランはほっとした表情とは裏腹に尻尾をブンブン振って意気揚々と冷蔵庫の中身を漁っていた。

 そしてシュヴァルは鯛焼きが入った皿を手に持ち、トレーナーの膝の上に再度座る。そのトレーナーは仕事をすべくパソコンを立ち上げていた。

 シュヴァルは欲が出たのか鯛焼きをトレーナーへと手渡した後、トレーナーに無言の要求をしだした。トレーナーは瞬時に察し自身の手でシュヴァルに鯛焼きを食べさせてゆく。

「餌付けシュヴァル」ボソッ

 顔を赤くしたシュヴァルはトレーナーに見られぬよう帽子を深く被り、無言で鯛焼きを一口小さく食べている。

 トレーナーはシュヴァルの帽子を撫でていた……そんな時であった。ぴちぴちと跳ねながら高速でトレーナー室に突っ込んでくる鯛とご対面したのは。

「鯛が、降ってきた……」

 今日を持ってトレセン七不思議に空飛ぶ鯛が加えられたのは言うまでもない。


◇話を戻してクラトレ室


「えっと、つまりクラウンはアルコールが効きすぎる体質で一時的どころか完全にすべてを忘れてしまった……そう言いたいのかい君達?」

「そうです! 貴方が悪いんですよサトノ家の一員であるクラちゃんをどうしてくれるんですか!」

「いやいや、俺だけが悪いわけじゃないだろ。勝手に飲んだのクラウンだし」

「ウーン、キタトレさんに突撃したけど解決方法わからずしまいかぁ」

 その時、ダイヤに電流走る。

「そうだ、クラちゃんは遊戯王の他にポケモンもやってたはず。対戦で脳を刺激させれば記憶が戻るかもしれないです!」

遊戯王じゃダメなの?」

「作者含め私達に遊戯王知識一切無いので無理です」

「メタいよダイヤちゃん!」

「確かに刺激にはなるだろうけど、確か次勝ったらレート1800の大台突破だとか本人言ってた気がするし。いいのか記憶失ってる本人にやらせて?」

 躊躇するクラトレに対し、ダイヤは涙ながらに懇願した。『お願いです……このままだと私が死んでしまいます……』ということを言いながら土下座する勢いで。

 キタサンとクラトレは悟った。この子、今のクラウンにこれ以上耐えられないんだなと。


◇クラウンパーティー(ネタパ)

オオタチ
•ハバタクカミ
•チリーン
•プリン
ワタッコ
•デカヌチャン

「ねえダイヤちゃん、このパーティー……」

「やめて」

「ダイヤちゃんも気になってると思うけど聞いていい?」

「やめてよぉ……」

「クラちゃん。ガチパとは程遠いけどなんかコンセプトがあるんだったよね?」

「はい、可愛いキャラで固めました! 小動物の可愛さに確かな強さを秘めている。とってもキュートじゃないですか! カワイイは正義なんです!」

 ダイヤは壁にヒビが出来るぐらいの頭突きを微笑みながら無言でガンガンやり出した。

「ダイヤちゃん……」

「相手のパーティーはマイナーパか。90位代のクレベースを除き、ほぼ使用率100位以下で構成されてる」

「マジですかクラトレさん。これは……このパーティーでも勝てるかもしれないです!」

 キタサンの希望的観測は希望的でしかないのかもと思うくらい厳しかった。

 このクラウンパーティー。実はハバタクカミ以外鈍足の上、あくタイプが一貫していたからだ。昨今の悪タイプ全盛期時代、普通のガチパを相手にしてたら一瞬で壊滅して負けてしまうだろう。

 ただ、今日のクラウンはきょううんだった。

オオタチがおかたずけからのずつきで怯み三連続引いて突破した!」

「なんて剛運なんだ純粋クラウン!」

ポケモンSV。素晴らしいゲームです! 私、このゲームで世界中の人を笑顔にします! そしてもっとワクワクでハッピーな世界を作ります!」

 ダイヤはクラウンのあまりの眩しい発言を受けて表情が溶けだしていた。多分クラウンが元に戻ったらダイヤの表情も元に戻るはず……

タギングルもまひの行動不能やひるみも重なって突破。一時はヘルガーに全抜きされかけたけど、運だけでまひ入ってるハバタクカミVSクレベースとのタイマンに持っていっちゃった」

「今のクラウンは純粋。穢れが無い故に幸運値エグいことになってるのかも!」

 クラトレとキタサンは信じられないものを見てる表情でクラウンと対戦を眺めている。

 一方その頃、虚な目をしてるダイヤは純粋クラウンのことを『超グットラッククラちゃん』と称していた。そしてよろよろと立ち上がり何処かへと歩き出し……再び倒れた。もう彼女はいろいろと限界だったのだ。


◇一方その頃、シュヴァルグランとそのトレーナーは。


「なんで鯛が降ってきたんだろ。今日は特別めでたい日でもないのに」

「副会長のやる気が下がってそう」

 シュヴァル達は手を繋ぎながら、ついでに鯛を水槽に入れて外に出ていた。

「まだ生きてたから水槽に入れたけど、鯛って淡水でも生きれたっけな?」

「いや、僕の知る限り。海水でしか生きられない……なんでこの鯛生きてるの?」

「まあ、大体この秘密はタキオンが解決してくれるだろうし、さっさと研究室へ明け渡そうか」

 そうしてシュヴァルトレは研究室の扉を開ける。部屋にはタキオンはおらず、代わりに爆発寸前のマルマインが研究室の真ん中に陣取って居た。

 脊髄反射的にシュヴァルグランに覆い被さるトレーナー。その際に足に水槽が当たったのか、凄い勢いで鯉はマルマインに突っ込んでいく。

 マルマインのだいばくはつ。それは研究室一帯を巻き込むほどの大きな爆発。シュヴァル達は奇跡的に無事だったものの、鯉は空に吹き飛ばされてしまった。

 鯛はただでは終わらなかった。爆発の勢いそのままに保健室を経由してウコンを回収。そのウコンをクラウン目掛け弾き飛ばしたのだ!

 ウコンは弾丸と同じスピードで飛ばされていく。途中、トレーナー室のガラスに出くわしたものの意に介さず難なく突き破った。

 そして……ウコンはクラウンの口の中へ入っていった。ウコンは酒に酔ってる時に食べると効果的だ。その影響か、お酒で支配されていたクラウンの記憶も正常化する!

「あれ……? なんで私コントローラー握ってるのかしら?」

「クラちゃんの記憶が戻ったぁぁぁ!」

「いや待てキタサン。さっきの道理で言うと幸運力は……」

 ハバタクカミは痺れて動けない。

「言わんこっちゃねえよこの野郎!」

 クラトレは頭を抱え、キタサンは慌てふためき、クラウンは状況が飲み込めておらず、ダイヤは正気を取り戻しつつあった。

「クラちゃん今すぐもう一度記憶失って!」

「今日会って早々何言ってるのよキタサン!?」

「どうしても戻せないようなら……あたしがクラちゃんの記憶を消す」

「友達だと思ってた人が実はヤバいやつだった件」

「待てクラウン! マジカルフレイムはだめだ、クレベースは!」

「え?」ポチッ

 特性がんじょう、クレベースは攻撃をこらえた。クレベースミラーコート。ハバタクカミは倒れた。クラウンは負けた。

「えっと……トレーナーの家に居たはずなのにいつのまにかポケモン対戦やってて、何が何だかわからないけど負けちゃったみたいでごめんなさい?」

 困惑しながらわけもわからず皆に謝るクラウンにダイヤは匍匐前進で近づき、背後から抱きついた。

「ダ、ダイヤ?」

「いいんだ……いいんだこれで……」

 ダイヤは心身ともに酷く憔悴していたが、この時ばかりは嬉しさと安堵の入り混じった表情をして大粒の涙を流しながら友の帰還を喜んでいた。

「何でダイヤは泣いてるのよ〜!?」

 その後、記憶喪失クラウン状態のエピソードをダイヤ達経由で聞いたクラウンはしばらくの間『コロシテ……』状態になった。