二次短編小説置き場ブログ支部byまちゃかり

主にウマ娘の短編を投稿してます。基本的にあるサイトからの自作転載となります。

ツチノコを探すメジロ家募集のバイトに参加するなの!

ツチノコ。日本に生息すると言い伝えられている未確認動物(UMA)のひとつ。 横槌に似た形態の、胴が太いヘビと形容される。 北海道と南西諸島を除く日本全国で“目撃例”があるとされる。

フウトレ「それで、なんで僕たちはメジロ家屋敷の玄関前に呼ばれたんだいフウ?」

フウジン「トレーナーなら確認しといてなの」

「しまったなぁ、ツチノコ探しのバイトとしか頭に入ってなかった」


アイネスフウジン 高額バイトに釣られて参加
アイネストレ 頭数


「来ましたわね2人とも!」

 マックイーン。格式高いメジロ家の一員で今回のバイトの依頼主だ。虫取り小僧みたいな格好でやってきた。隣にはやる気無さげなライアンも居る。

「それでマックイーン。僕たちは一体何すりゃいいんだい?」

「勿論、ツチノコ探しをしてほしいんですの!」

「マックイーンがさ、『ツチノコは実在します!』とか言って聞かないんだよね。はぁ……居るわけないで終わればよかったんだけどな」

「実在しないと断定するのは早計ですわよライアン! メジロの屋敷では200台の監視カメラが設置されていて、その内の50台に怪しい影を目撃したのもうお忘れで?」

「はいはい、私達。もといマックイーンはこれをツチノコと断定したんだよね?」

「50台もあるのに姿確認できてないことに驚きを隠せないの」

 マックイーンの話を聞いていたフウのテンションはただ下がりになっていた。マックイーン達にも聞こえないぐらい小さな声で『辞退したいの』と聞こえてくるぐらいには。

 後で聞いてみたところ、このバイトは成功報酬型で目が眩むほどの大金が貰える契約だったらしく、マックイーンの話を聞いてるうちに成功報酬であるツチノコは居ないんじゃねと思うようになってしまったようだ。


「立ち話もなんですし、一回屋敷に入りましょう。見事にツチノコ捕まえたらしっかりバイト代を出しますから」

「マックイーンちゃんに詐欺バイト掴まされたなの。お姉ちゃん失格なの」

「どんまいどんまい。高額報酬ほど罠がある典型例だね。まあ本人は罠仕掛けたとか思ってないだろうけど」

「ごめんねウチのマックイーンが迷惑かけて。足しになるか分からないけど成功失敗関係なく私が代わりにバイト代払うよ。流石に車一台買えるような大金は無理だけど」

「ありがとうライアンちゃんさっすが話が分かる人なの! 一生ついて行きますなの!」

 フウジン変幻、変わり身の術お金絡みである。さっきまでの絶望顔がライアンの提案により一瞬で目が$マークに変わる変わり身の早さ。

 その時、ふと閃いた! このアイディアは、フウジンとのトレーニングに活かせるかもしれない!


           ◇


「どうも、マックイーンのトレーナーにして保護者です。暇なフウトレにフウジンさんいらっしゃい」

「お前……大蛇に頭半分噛まれてるよ?」

「これ? これは大蛇の被り物だから大丈夫」

「なんでそんなの被ってるんだい?」

「これ見たら仲間だと思って出てきそうじゃねってノリで被ってんだ」

「そんなバカな話あるわけないの。マックイーンちゃんはマックイーンちゃんとして、そのトレーナーも頭くるくるパーなの」

 フウジンは火の玉ストレートな悪口を展開しているが、僕は違う。大蛇型被り物にすっかり一目惚れしちゃった。

 早速、マクトレから貰った色違い被り物を目の前で被り「ナカーマ!」と宣言。ツチノコの加護を獲る。

「ほら!」

「トレーナー何やってるの!」

 被り物を被る僕を見て誇らしげにフウジンを煽るマクトレ。尚、フウジンはこの帽子気に入らなかったようだ。


ツチノコ探索☆

 

トレセン学園の生物科に所属している姉畑支遁先生です! 協力な助っ人として手伝ってくれるようですわ!」

ツチノコは必ず存在するっ! うん、ここはいいところですね。この森模様ならいるかも知れません」

「分かるものなの?」

「うん、生物学者の名にかけて。あと、この森には可愛い子達がいっぱいいますからそちらも狙っていきたいですねぇ〜」

「可愛い子……? まあ生物によっちゃあ可愛い生物も居るか。生物学者だけあって生物好きなのかい?」

「うん……好きで好きでたまらないんだ!!」

◇男の名は姉畑支遁。熊で果てて一度死んだが転生し、現在はトレセン学園の生物科で教鞭を振るっている。先生が学園に来てから野生生物の不審死が増えたらしい。


ツチノコなんているわけないの。空想上の動物だしどうしたらいいの。トレーナーには申し訳ないことをしたの」

アイネスフウジンは大金に目が眩んでしまった自身を恥じていた。トレーナーも巻き込んでしまったことも後悔の一つで、人知れず溜め息を吐く。

◇一方その頃、フウトレは……


「見てくれよマクトレ! ツチノコ以上に希少なUMAを見つけたんだ!」

「落ちこぼれなお前が見つけたのか。ほう、どれどれ?」

 僕が見つけたUMA、そうそれは喋って牛耳がついてる乳がやたらデカい美少女。通称牛娘だぁぁぁ!

「お前もしかしてUMAじゃなくてUSIですよとかいうクソつまんねーオチだったりする?」

「そそそそんなわけななないじゃないですかーーー」

 マクトレがいつぞやのライスシャワーが見せていたオーラを宿している? てかこの感じは僕を殺ろうとしてないか!? これは不味い話を逸さねば!

「ほらこの子さ、ウマ娘達みたいな変な種族だしなんなら喋るんだよ? ちょっとこの子の話聞いたげてよ! ちなこの子名前、ファヴニールらしい!」

「ふん、まあ聞くだけなら」


 牛娘は一呼吸ついて語り出した。『体は剣でできちょい、血潮は鉄で心は硝子、幾度ん戦場を超えてなお不敗、ただ一度ん敗走もなっ、ただ一度ん勝利もなか、担い手はこけ一人、剣ん丘で鉄を打つ、ならばそん人生に意味へらず、そん心はきっと無限ん剣でできちょった』


「だってさどうするマクトレ」

「あー、そりゃあ勿論。意味不明語喋ってるけど新人種なのは間違いないから実験室送りに決まってるだろ」


◇牛娘の視界が暗闇になった。


 競バ場。僕は相棒のファヴニールと共に今日レースが行われるらしい建物を眺めていた。

モブウマ娘1「プププwあんた……なによそれ!」

モブウマ娘2「ここはね、あんたみたいな牛が来るところじゃないの! あんたはさっさと牧場に帰って乳搾りでもしてれば?」

モブウマ娘3「そんな汚い格好で神聖なる競バ場を汚さないでほしいわね」

「ウッ……フ、ファヴニール。もう帰ろうよ……」

 僕は気づいてしまった。ファヴニールは泣いている姿を。会場へ入っていくモブウマ娘達を睨め付きながら。

「そうだよね。悔しいよね。あんなにバカにされて」

 すると、競バ場から外からでも分かるくらいの大歓声が聞こえてきた。僕達は急いで観客席最前線までターフを見に行った。

 観客の目を一身に集めているそれは、ウマ娘達のレースであった。物凄いスピードで競い合っている彼女達。僕はさっきまで相棒がウマ娘達によってあんな目に遭わされたにも関わらず、目の前で行われているレースに感動せざるおえなかった。

「……特訓しようファヴニール。特訓して強く、速くなってアイツらを見返してやるんだ!」

 

『牛娘プリティー』プツン

 ァァァァァ!? いいとこだったのにテレビの電源が切れた!

「これから面白くなりそうだったのに! 10月放送予定の牛娘プリティーダービーが待ちきれなかったのに! リモコン、リモコン……あっ」

「なあフウトレ。ツチノコ探しはどうした?」ゴゴゴゴゴ

 テレビのリモコンはいつぞやのライスシャワーが放っていたオーラと同等なやつを纏っているマクトレが握っていた。

ツチノコ探し……? そんなの注文した覚えはないんですけど?」


. _人人人人人人_
. > ゲンコツ☆<
..  ̄Y^YY^Y^Y ̄
         
         
「まったく、バイトならちゃんとやれよなお前」

 マクトレのゲンコツを頭からモロにくらった僕はしばらくの間動けなかった。


            ◇


「あれ、姉畑先生はどこいった?」

ライアン「なんか、『穢らわしい木だ』とか言って下半身露出したまま大木を斧で伐採しています」

「ライアン……俺、連れてくる人間違えたかもしれない」

ツチノコ探しを本気でやっているのも間違ってる気がしませんかね?」

「間違ってない(鋼の意志)」

◇その刹那、マクトレは何かに気づく。


「なんだこれ……黄色い、何かの破片? のような……ま、まさか! これって、妖怪ウォッチでいう幸福のしずく的なやつなんじゃ! てか、もう一個あった。ん、いや待て一個どころじゃねぇ。この破片、まるで俺を導いてるかのように均等間隔で落ちているじゃないか! ま、まさかこの薮の先に本物のツチノコがいるのか!?」


 ガサガサガサ……ガサァ!


「うむ、そろそろ食べ頃だろう!」

「「わーい! やったやった! ライアントレありがとう(なの!)!」」

「なんでお前がここにいるんじゃあ!」

◇マクトレが辿り着いた場所は、マックイーンとフウジン、そしてライアントレがバーベキューをしている現場だった。ちなみに黄色の破片の正体はとうもろこしだった。

 

           ◇


「昼頃ですし、お昼ご飯にしましょうか!」

「マックイーン、君は太り気味になるぐらいたらふく肉食べてただろ?(ニッコリ)」

「へー、てっきり昼飯自前なんだなって思ってたけど、用意してくれてたんだ」

 昼飯抜きとなったマックイーンは涙ダダ漏れ状態のまま、昼飯についてこう語っていた。要約すると、くだらないことに付き合ってもらっているから昼飯ぐらい出すということを。


「うーん、美味い! やっぱり働いた後に食べる飯は最高だなぁ!」

「トレーナーはともかく私はろくに仕事してないなの。でもまあ、こんなくだらないことやりながら昼飯とバイト代貰えるんだから、たまにはこういう仕事をするのもいいかもなの」パクッ


(ふむふむ、この弁当かなりジューシーな味わいなの。流石はメジロ家。高級食材をふんだんに使用しているなの。そして身体中を駆け巡る不快感……弁当には全く合わないチョコジャムが全体に塗せられているなの!? それにジャムに混ざってる砂鉄とジャリジャリとした血合いのようなこの味はめちゃくちゃ)


「クッソッ、まっずいなの!?!? なんじゃこりゃぁぁぁ! おい弁当手配したマックイーンのトレーナー、なんだこの弁当はなの!」

 何故だろう。普通に美味しい弁当なはずなのにウチのフウがマクトレ相手にヒステリーを起こしている。

 それをマクトレは意に介さず、代わりとばかりにフウに対して社会人の心得とやらを語り出した。

 例えば、社会に出たならばコミュニケーション能力を鍛えろとか、マックイーンとはそういうのを徹底しているとか、だからお前はマックイーンに実績で敵わないんだとか、不出来なトレーナーを持って可哀想にとか、どうたらこうたら。後半は何故か僕らを標的にした悪口染みた皮肉もセットになってたな。

 そして今回、マクトレが思いついたコミュニケーション力を鍛える方法はロシアン弁当作戦というものだったと、そんなことを話していた。


 マクトレが言うロシアン弁当ってむしろ嫌われそうだけどな。現にフウは怒りを噛み殺しながらハイライトオフ状態だし。この人には人の心無いのだろうか?

「ま、こんなマズい弁当に根を上げているようじゃロイヤルビタージュースも飲めないし、重賞優勝の夢もまた夢ってことだな! それに加えてバイトもろくにできないトレーナーを持ってんだから一生無理な話だがなガハハ!」

「私、こんなんでもトレーナーと一緒に日本ダービー獲ってる強い子なの。あとキミもこれ食べさせてあげるなの」

 マクトレがゲラゲラ笑ってる隙をついたフウは自身の弁当をやつに食べさせた。途端に複数回吐血するマクトレ。程なくして力無く床へと倒れ込んだ。

 マクトレは救急車へ運ばれていったがこれは流石に自業自得だ。マックイーンもマクトレを擁護しなかったしつくづく食べ物の恨みって怖いなって思う。


(失礼すぎる奴だったなの。食べ物に毒仕組まれた件はいいとして、トレーナーと歩んできた実績を無かったことにされたのは我慢できなかったなの)


フウトレ「大丈夫フウ? 随分思い詰めた顔になってるけど……みなさん少し僕とフウ離れます!」

ライアントレ「ああ、わかった。まあトレーナーになるやつは皆頑丈だし大丈夫。フウジンさん気にすんな。あれは全面的にアイツが悪い」

 

 その後、僕はフウのメンタルケアを兼ねてメジロ屋敷の森の中を探索していた。

「ちょっと厳しいことを言うよ?」

「はい……」

「マクトレにムカついたのは分かるけど、それで毒入り弁当を食べさせるのはダメだよ一般人なら死んでるし。ライアントレがメジロ家に事情を説明してるから刑事事件には発展しないだろうけど、普通は殺人未遂だからね。そこだけは肝に銘じてくれ」

「分かったなの……」

 フウの顔が曇っている。まあさっきのことが尾を引いているのだろうけど、それが彼女の人生にまとわりついてこられても嫌だな。

 気の利いた言葉は場合によったら逆効果になるしなぁ。でも放置するのはダメだし。どうしたものか……

「……ことを……汚らわしい……こんなこと……いけないっ!」

「……ん? なんだ、このおっさんが女性を誘惑するために出すような声で誰かを殺してそうな、森の何処かから聞こえてきたな」

「確かに不快な声が聞こえてきたの……」


「ふう……羊蹄山は名称通り高山植物が豊富なんですねぇ〜日本固有種で北海道〜中部地方の山地帯に生きてるアカミノイヌツゲ。黄金のキノコタモギタケだ。湿地に巣を作る夏鳥のコヨシキリ……」


「さっきからなんなの、この生命を侮辱してるような声の主は。私は今罪の意識に苦しんでるのに邪魔しないでほしいの!」

「フウの辛辣語録復活してきたな。失礼だけど、さっきのレイプ魔が発してそうな声の人誰だろうな。どっかで聞いたことある声だ」


「夏の羊蹄山の湿原も綺麗だ。世界は……こんなにも美しい……」

 この声、姉畑先生忘れてたぁぁぁ! どこにいるんだあの人。まだ昼ごはん食べてないはずなのに。お腹空いてないのだろうか?

 ていうか何やってんだこの人、ツチノコ探しそっちのけじゃないか。

「と、トレーナー。あっちの木の下で、ひ、人が倒れているなの!」

「え、こんな森の中で?」

 ええい、姉畑先生は後に回してフウを優先する。どうせ姉畑先生夕方には戻ってくるだろ!


 フウの言ってたとおり、水色の長い髪と気品な顔立ちなウマ娘が山の中で倒れていた。遭難者か? 近くに4階建ての屋敷という目印あるのに、この人本当にこんなとこで遭難したのだろうか?

 脈はあるし、息もあるな……病院に行ってみないと分からないけど、おそらく気を失ってるだけだ。

「この人ってアルダンちゃんなの!?」

「アルダンってあのメジロアルダンだと!? 大変だ、フウは救急車を呼んでくれ。僕は今すぐライアントレに連絡して応援を頼む!」

 近くには鹿の惨殺死体や斧で切られたような切り込みが入った木がある。明らかに人為的被害だ。いったいこのメジロの森で何が起きているんだ……


◇続き書くか書かないかって言われたら多分書かない。頭姉畑にならないと書けん。