二次短編小説置き場ブログ支部byまちゃかり

主にウマ娘の短編を投稿してます。基本的にあるサイトからの自作転載となります。

メジロ家にされそうなトレーナーと持ち帰りを決意するヴェニュスパーク

 フランスへ帰国する予定の1週間前、私はトレーナーさんに告白した。

 私自身面喰いなのもあるけど、留学時に見てくれた臨時トレーナーさんは一際目立つイケメンでいい匂いもするし、この人が居なくなった生活が考えられないぐらい世話をしてくれた。

 そんな王子様みたいな人に甲斐甲斐しく世話されたら惚れないほうが難しいよ。私をこんな感情にさせたのだ。今更元の生活に戻れないし絶対責任を取ってもらう。

 ならやる事は一つだ。郷に従い日本式の告白で相思相愛になってからフランスに持ち帰り結婚して幸せな家庭を築くこと。あと母国の言葉で毎晩愛の囁きをしてほしい。

 私は恋の自覚をしてからトレーナーさんに振り向いてくれるように頑張ったんだ。過激なことは羞恥心が勝って出来なかったけど、この半年間で多分トレーナーさんも私のことが……

 ああ、告白の返事が待ち遠しい。告白してから何故か頭抱えて悩んでいるトレーナーさんも断る理由がないはずだ。

 

「告白は嬉しいんだけど……ごめん。俺には婚約者がいて1週間後、元担当のラモーヌ相手で結婚させられるんだ」

「……Ouais?(ん?)」

メジロ家が俺の意思関係なく強引に話を進めていて、拒否権がない。爺やさんの話によるとラモーヌも乗り気らしいし……ごめんなパーク。俺は君のことが好きだけど、君の告白は受けれない」

「En d'autres termes, M. Trainer subit des pressions de la part de la famille Mejiro pour qu'il l'épouse, alors il va avouer ses sentiments ?Après tout, les mariages politiques se produisaient sous la dynastie française, mais au Japon, c’est du bon sens ! ? Après tout, les mariages politiques se produisaient sous la dynastie française, mais au Japon, c’est du bon sens !?(つまりトレーナーさんはメジロ家に結婚を迫られてるから告白を振ると? てか政略結婚なんてフランス王朝時代でやるようなやつなのに日本ではこれが常識なの!?)」

「早口フランス語で何言ってるか分からないけど、表情的に焦ってることは分かる。なんならこの半年間で顔面蒼白な君を初めてみたよ」

「こんなことは間違ってます! 人の人生を他人が勝手に決めるなんて……国際人権団体に訴えましょう!」

メジロの息がかかってるから無駄だよ。お婆様と偉い人が繋がってるからすぐに揉み消されるさ」

 告白したことでトレーナーさんと私が相思相愛ということは分かったけど、トレーナーさんには既に婚約者がいた。相手はメジロ家という母国でも聞いたことがある名家出身の子らしい。

「その話……受けるのですか?」

「受けなかったらライアントレみたいに拉致されてどっちみちメジロ家入りだよ。だから受けるしか選択肢がないんだ」

「そんな……」

「本当は嫌なんだよ。ラモーヌとは3年間女王と従者の関係に近かったから恋愛対象として見れなかったし、そもそも俺のタイプじゃない。もっとも、ラモーヌは違ったらしいけど」

 私の中で沸々とした怒りがメジロ家に向けられていた。

 トレーナーさんは今、政略結婚という強制結婚を迫られている。そんなことは許されてはならない。相思相愛ならまだしも本人はそれを望んでないし、なによりトレーナーさんは私のフィアンセになる人だ。

 権力に屈してなるものか。メジロ家の好きにはさせない。私もフランス革命の民族だ。権力者に抵抗してトレーナーさんとその自由を助けないと!

「……トレーナーさん。私に提案があります」

 

 


            ◇

 

              


ラモーヌ「トレーナーが居ないですって? トレーナーが逃げ出す事は想定内よ。黒服達、GPSは何処にいらっしゃるの?」

「そ、それが……フランス大使館に」

「フーン。さては、どこのウマの骨かも知らない留学生を頼ったのね。お金の力を使えば職員もすぐに屈服するのに愚かね。爺や、今すぐ車を出しなさい」

 

◇フランス大使館にトレーナーは居なかった。


「……爺や。今、最悪の事態が頭をよぎったわ。メジロ家ってフランスに縁が無かったわよね? 英語はともかく、フランス語をまともに話せる人はあの人以外にいない……」

「つまりトレーナー様は既にもう日本に居ないと?」

「……想定外だったわ」

「国外逃亡は想定してなかったのですね」

「国際手配して強制送還する手も使えないわね。そもそもあの人は犯罪者じゃないですもの。なら、直接私が出向くしかないわね。爺や、今からフランス行きのチケット取れる?」


            ◇

 

「師匠! ただいま戻りました!」

「ここがフランスかぁ〜いいところだ。貴方が噂のモンジューさんですね。一度会って話してみたかった」

「ああ! 浮気はダメだよトレーナーさん!」

「……我が弟子がイケメンを持って帰ってきただと!? ズボラで汚部屋製造機な君が……!?」

 フランスにトレーナーさんを持ち帰りすれば万事解決することに気づいた私はトレーナーさんの了承を得て、留学最終日に一緒の飛行機に乗った。

 その前にフランス大使館に寄った際、内蔵GPSがトレーナーさんの腕や足に埋め込まれてたのが分かったので職員さんに除去してもらったり大変だったけど。

 メジロ家は母国に圧力かけれるほどの権力が無いし、不純物は除いたしあいつらが追跡するものも無い。晴れてトレーナーさんは自由になったのだ。